立冬すぎての中医学的養生

上海浦東新区の張家浜

上海浦東新区の張家浜


 四季の移り変わりは、中医学では24節気を重視するわけですが、11月7日に立冬がやってきて、上海も徐々にそれらしき寒さになってきました。
 
 中国では、北方と南方では明らかに気温の下がり方が違ってきますが、いずれにしろこれまで夏にかけて溜めてきた陽気を徐々に使い始める一方で、陰気が盛んになって、落ち葉も増え、動物たちは冬眠の準備を始めます。同時に、活動を小休止するのにあたり、身体を蓄えるようになるのです。それが「冬令進補」になるのです。

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秋の養生、まずは涼燥に注意

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最近の患者さんの傾向を見ていると、「ああ、秋が来たな~」と感じることが多くあります。代表的なのが、咳や鼻のグズグズ、皮膚の痒みや干燥などです。気温が寒くなると喘息の発作が出てくる人も多いです。

 湿度が比較的高い上海エリアに住んでいる私たちからすると、秋の始まりは干燥よりも寒気による身体の変化が大きいように思います。その代表的な症状が鼻水ではないでしょうか。この秋口の鼻水を中医学ではこのように説明します。夏ばてや体調の不良で肺の気が傷つき、体表にある衛気が消耗し、秋の寒さに乗って寒邪が身体の中に入ってくると、まず鼻の痒みや寒さが出て来ます。邪気が入ってきたことで、身体のなかの正気との衝突が起こり、邪気を追い出そうと人はクシャミをすることになります。
 肺が気の流れを整える通調作用を減退させると、気は津液をコントロールできなくなり、肺と繋がりの深い鼻から鼻水が出るようになります。肺気が弱まると、汗が出やすくなったり、寒がりになったり、といった症状も出て来ます。

 寒さが来だしたら、次は晩秋の干燥が身体に忍び寄ってきます。干燥は、身体の表面から身体の中へ順々に影響を及ぼしていきます。初めは咳や喉の痒み、口の干燥など呼吸器官系の症状が中心だったのが、次第に身体のだるさ、便秘、消化不良、睡眠障害、鬱病などの症状へと繋がっていきます。

 以上から分かるように、中医学では秋の養生のキーワードとして、燥邪の入り口となる肺対策をどうするかを考えることになります。

 まずは肺の気を充実させます。それには、まず新鮮な空気(清気)が必要ですし、食べ物からの気として、脾・胃の充実は欠かせません。代表的なのは、棗・山芋・葛根・茯苓・シイタケなのがそうです。これらは脾・胃の他にも、肺に対しても気を補う特徴があります。また、肺の干燥対策では、梨・百合根・レンコン・キクラゲ・豆乳などが潤しとして使われます。野菜では、ミカン・キーウイ・大根・白菜・リンゴ・文旦などがよいとされます。大抵、この秋に出てくる食べ物ですね、

 ただし、気をつけないといけないのは、肺に対しては陰や気を補うだけではダメという点です。特に、陰は溜めすぎると痰の生成を助長させることになります。そのため、肺の動きを広めることができる袪痰宣肺作用のある食材も適度に使います。代表的なのには、紫蘇・葱・薄荷などがそうです。

 これ以外にも、適度に水分を摂取する、辛いモノを食べないようにする、睡眠をしっかり取るなど陰を守ることに気を遣う必要があります。まず、秋の養生には干燥と肺に気をつけたいところですね。

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